吉祥寺の「むかし」、そして「いま」。~写真が伝える吉祥寺の「ふたつのエネルギー」~

吉祥寺の「むかし」、そして「いま」。~写真が伝える吉祥寺の「ふたつのエネルギー」~

昨日の懐かしい風景を振り返りながらも、明日の新しい風景が楽しみな街。

言い換えれば「変わらぬエネルギー」と「変わり続けるエネルギー」という一見相反するふたつのエネルギーを内包している街。それが吉祥寺である。

吉祥寺は新旧が隣り合う、いつ歩いても発見がある街だ。

かつてあった店が消え、開発され便利になり、おしゃれにどんどん変わっていく場所があれば、レトロな昭和の匂いを感じさせる建物が何の違和感もなくたたずんでいたりする。

そこで今回の今昔物語は、吉祥寺の『変化』を確かめるべく、吉祥寺の各スポットの「むかし」と「いま」を写真で比較してみることにした。まずは見比べてみていただければ幸いである。

※写真はクリックすると拡大表示します。
拡大表示時に←→キーでスライド表示します。

古い写真は「らかんスタジオ」鈴木育男さんから提供していただきました。

梅渓堂前(現・中道通り入口を望む)
昭和29年・梅渓堂前(現・ナインビル前)より中道通り方向を望む 平成21年・ナインビル前より中道通り方向を望む
昭和29年、平和通りの駅側(現在のパルコ向かい側)から、中道通り方向を望む。左から右に伸びる道は吉祥寺通り。当時は舗装されておらず、車の往来も少なかったことが窺える。写真中央付近、中道通りの入口には「NAKAMICHI」と書かれたアーチが新たに作られた。
平和通り西地点
昭和34年・平和通り・らかんスタジオ前 平成21年・平和通り・らかんスタジオ前
昭和34年、平和通りの西端付近。右奥から左手前に吉祥寺通りが伸びている。現在はらかんスタジオなどが入るナインビルに変わったが、建物の形がどことなく往時の印象を残している。この付近はパルコや中道通りへの通り道となっており、人通りが絶えることはない。
北口駅前風景
昭和38年・北口駅前風景 平成21年・北口駅前風景
昭和38年、北口駅前から平和通り方面。バスが連なる風景は今も昔も変わらないが、雨よけが付き、待ち人に優しい場所となった。背後に見えるのはハーモニカ横丁付近。看板こそ現代風ではあるが、建物の様子がほとんど変わっていないのは驚きだ。
公園通りの踏切
昭和40年・公園通りの踏切 平成21年・公園通りの高架
昭和40年、井の頭交差点(吉祥寺通りと井の頭通りの交差点)を南から望む。当時はまだ中央線が高架化されていなかった。右側にあった交番は、現在は左側に移っている。高架の向こう側には右側にパルコと伊勢丹、左側に東急がある。
サトウ肉店前
昭和41年・ハーモニカ横丁(現・サトウ前) 平成21年・ハーモニカ横丁(サトウ前)
昭和41年、ハーモニカ横丁の路地のひとつ、武蔵通りを北側から見た光景。かつて細かった路地は拡幅され、賑やかな通りとなった。左から右に横切るのはダイヤ街アーケード。角にある精肉店「サトウ肉店」には名物のメンチカツを求めて、毎日長蛇の行列ができている。
駅前通りを望む
昭和41年・吉祥寺北口駅前通り(現・サンロード商店街) 平成21年・サンロード商店街
昭和41年、当時は「駅前通り」と呼ばれていた駅前商店街。現在では吉祥寺駅北口から五日市街道まで、全長およそ300mにわたる「サンロード商店街」となっている。「一店逸品街」を合言葉に専門店が軒を連ねる、吉祥寺のメインストリートである。
元町通り
昭和48年・伊勢丹前の元町通り 平成21年・伊勢丹前の元町通り
昭和48年、伊勢丹前の元町通り。正面には建築中の東急百貨店が見える。右手には伊勢丹本館と、別館であるエフエフがすでに完成していた。現在ではレンガ敷きの広々とした歩道となり、思い思いにショッピングを楽しむ人々が行き交っている。
吉祥寺北口駅前より見た平和通り
昭和60年・吉祥寺北口駅前より見た平和通り 平成21年・吉祥寺北口駅前より見た平和通り
昭和60年、北口から平和通りを眺めた光景。すでにパルコが開業していたが、まだまだ低層の建物が多かった。現在、左手の駅ビル側は高いビルに変わったが、右手のハーモニカ横丁付近はそれほど変わっていない。

吉祥寺の「むかし」と「いま」。見比べていただいていかがであっただろうか。

伊勢丹や東急、ハイセンスな店が軒を連ねる中道通り、賑やかさを増すサンロード商店街…対して、昔の面影を色濃く残すハーモニカ横丁、今もバスを待つ人が列をなす駅前…。

変わらぬ風景もあれば、全く変わってしまった風景もある、吉祥寺の様子を目で確かめていただけたかと思う。

しかし「むかし」の写真からも、吉祥寺の街が活気にあふれていることに変わりはないのを感じさせられる。そして「いま」の写真からは、古いものを守りながらも、進化をもためらわない、街の懐の深さを感じさせる。

この懐の深さがあればこそ、吉祥寺は誰をも問わず万人を受け入れ、結果、現在に至るまで、群を抜く活気を保ち続けている街であるといえるのではないか。

そして、先に挙げた街が内包する「変わらぬエネルギー」と「変わり続けるエネルギー」を無意識のうちに感じて、吉祥寺に人は集うのではなかろうか。いままでも、きっとこれからも。 吉祥寺の新旧の写真のを見つめているうちに、またひとつ吉祥寺の魅力を見つけたように思う次第なのである。

それは写真が無言のうちに伝えるメッセージのように感じた。